屋久島旅行記 3日目  Mission Gouryuu

今回の旅の友、幸ちゃんとは大学時分からの付き合いだ。
所属した大学は異なる。
一緒にアルバイトしたこともない。
ではどこで知り合ったかというと、
アメリカへの交換留学で知り合った仲だったりする。
約1ヶ月間の留学生活はなかなか濃厚でおもろかった。
いまだ未熟者の自分が振り返っても未熟と断言できる未熟者だったけれど、
好奇心と勢いだけはあった。
一緒にいった数人とは今でも連絡を取り合ってたりする。
そのなかでも幸ちゃんとは年に1度は会おうと努力しあっている仲だ。
人と人の繋がりは一方が努力しても保持できるものではない。
互いに努力し合っているからこそ、今でもこうして会える。
もちろん社会に出ているので価値観の相違はいくつか出来ているけれど、
それらを含めて付き合っていると思う。
で、そんな幸ちゃんに内緒にしてきたことがあったりする。
それは同じく一緒にアメリカに行ったみどりちゃんを呼んだこと。
このみどりちゃんとは手紙のやりとり中心だけど、
去年の夏に再会し、「次はもっと短いスパンで会おう」と約束していた。
予定がはっきりしないなかで連絡しようかな〜と迷っていた背中を押してくれたのは、
8月の終わりに彼女からもらったハガキ。
福島県の桃マラソンに参加しま〜す
 桃美味ぁ〜楽しさのおすそ分け〜』
ってな内容のハガキ。
楽しそうなことしやがってこの野郎と思いつつ、
お礼のメールできていなかったので、
ちょうどいいやと
『オメー住んでいるの福岡やったよのぉ。
 ちょっと鹿児島まで遊びにけーや』
といった内容のもうちょっと上品なメールを旅行の2日前に送ったのだ。
『兄さん九州の広さ知ってますやろう』
なんて返事に
きちんと鉄道で来る場合の時間や運賃、バスで来る場合の時間と運賃を送り返す。
実に優しい行動だ。
あーだ、こーだ言う余裕をなくして、
無事、鹿児島で合流することになったのだけれど、どうせならもう数年間も会っていないという
幸ちゃんには秘密にしてた方がおもしろいと、内緒で計画を進め、メールでやりとりをしてここ数日。
旅の初日には
「幸ちゃんもみどりちゃんにメッセージ書きなよ」とハガキにコメントまで書かせる。
このハガキが再会した数日後届くわけだ。


フェリーの鹿児島港入りが9時半。
バスの鹿児島港入りが10時。
この30分を誤魔化すためにドルフィンポートの焼酎専門店で
悩んでいるふりと、本気の焼酎選びをし、
幸ちゃんにバレないようにメールで連絡を取り合い、
無事に
「兄さんこの焼酎いいですよ」
と店員でもないのに焼酎をススめてくる
サングラスをかけた怪しげな女子との合流に成功。
そんな怪しげなのと話すオレに不振そうな目を向ける幸ちゃん。
ちなみに幸ちゃんとみどりちゃんが会うのは
…10年ぶりくらい。
幸ちゃんにも笑顔を向ける。
もちろんサングラスをかけたまま。
幸ちゃんが固まったので、サングラスをはずすみどりちゃん。
しばらく考え
「あーーーっ!!」
幸ちゃんの声に作戦の成功を確認した2人だった。
いたずら大好き。