『しあわせのかおり』三原光尋
5編の話をあわせて『しあわせのかおり』。
タイトルがそれぞれ『蟹シュウマイ』、『包子』、『坦々麺』、
『上海蟹』、『トンポーロー』と中華料理なので納得。
確かに中華料理はしあわせのかおりがする。
映画化したのはおそらく『蟹シュウマイ』。
そもそも料理が絡んだ話が好きなので、本屋で発見し一目惚れで購入。
ザザッと一読するつもりが、あまりに美味しそうな描写が多いので、
進んでは戻り、戻っては進み。
なかなかページが進まなかった困った1冊。
読み進める最中に腹が鳴り過ぎる困った1冊。
読み終えたら猛烈に中華料理を作りたくなる1冊。
すべての話に、直接ではないが1人の料理人が出てくるのもおもしろい。
この1人の料理人が作った、教えた料理を食べてものすごく幸せになれるわけではない。
ただ、ちょっとした元気をもらえる。
美味しいもの食べたら元気が出る。
その元気は幸せに繋がっていく。
そんな短編が集まっている。
料理することの根本には愛がある。
形は違えど、その愛は人に力やきっかけを与えてくれる。
日々の生活と料理は切っても切り離せない関係にある。
物語にされたことで改めて、そんな当たり前のことを思い出させてくれる。
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